釈迦「有無同然」

『お一人様の老後』

(1) いびきのうるさい夫と一緒ではとても寝てなんかいられない。そこで、夫を2階に追いやってはみたものの朝になると夫が階段を降りてくる。その音を聞くだけで、ムカムカしてくる。 夫と同じ部屋の空気さえ吸いたくない。 こんな話は珍しくありません。 どうしたのでしょうか。好きで一緒になったはずなのに・・・。

(2) 「結婚して同じ空間にいるのが苦痛になったら嫌よね」って話したら、「考えすぎよ」と言われた。でも、そういうことって、けっこう身近にあるし・・・。 だから、慎重になりすぎて理想ばかり高くなるのよね。煩わしい思いをするくらいだったら、結婚なんかしなくてもいいやと腹をくくるか・・・。 しかし、それでも苦悩はやってきます。

(3) 以下はアラサーを過ぎた独身女性の自虐的なツイッターの一部です。 ・職場では「さん」づけで呼ばれる。 ・時々かかって来るお母さんからの電話は「彼氏はいないの?」から「ちゃんと貯金してる?」に変わってきた。・スーパーで夕食の買い物をしながら、「このまま結婚もせず、子供も持たず、おばあさんになるのかしら」と考えてしまうときがある。 ・「おひとり様の老後」という言葉に妙に反応してしまう。・部屋に一人でいると、テレビに話しかけるようになる。

(4) 独身女性は「結婚すれば重荷を下ろせるかもしれない」と焦ります。既婚女性は「離婚すれば重荷を下ろせるかもしれない」と思い詰めます。 実は、右肩の荷物を左肩に移し変えているだけのことです。 右肩が重荷で痛くなり、左肩に移し変えた時は、少し楽になったような気がしますが、やがて今度は左肩が痛くなってきます。 有っても無くても苦しみは変わりません。釈迦は「有無同然」と私たちに教えています。

『悲しむのはお止めなさい』

(1) しばらく前の事ですが、新聞や週刊誌で取り上げられた60代の姉妹がいました。親の遺産60億円を自宅に隠し、28億円の脱税容疑で逮捕されました。隠したお金はダンボール箱で50個。1日10万円使っても160年以上かかります。金が金を呼ぶ貸金業で荒稼ぎした父親の遺産だったそうです。

(2) それにしても、「お金は使うためにある」という言い古された真理のわからない人は今も多い。貯めるだけ貯めて、使わずに死んだり、あるいは逮捕される。稼ぐためには全身全霊で頑張るが、使い方には全く無頓着。如何に儲けるかより、如何に使うか。人の真価が問われます。

(3) こんな話があります。 全財産を金塊に換えて、人里離れた場所に埋めた男がいました。それでも、男は誰かに盗まれるのではないかと不安でたまりません。そこで、こっそり通っては掘り返し、金塊の無事を確認します。これが男の日課になりました。 そんな男の行動を不審に思った近所の悪党が男の後をつけて、秘密を知ってしまいます。次の日、いつものように金塊の無事を確認するためにやってきた男は腰が抜けるほど驚きました。なんと、隠し場所が暴かれ、全ての金塊が盗まれていたのです。髪の毛をかきむしり、天を仰いで、「もう生きる希望もなくなった。死んだ方がましだ・・・」いつまでもいつまでも悲嘆に暮れていました。 そんな時、ある人が男を諭します。「悲しむのはお止めなさい。あなたはお金を持っていないのと同じだったのだから。お金は使うためにあるんですよ。あなたはお金があったときも使わないで隠しておいた。使わない金塊なら、石ころと同じです。同じ場所に石ころを埋めて、それを金塊と思い込んだら如何ですか。どうですか。今までとおんなじでしょう。何にも変わりません。」

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