田舎で開業したので農業が儲る為のシナリオを考えてみた

田舎で開業したので農業が儲る為のシナリオを考えてみた

私が開業した福岡県八女市という場所。
あの堀江貴文氏が生まれ、幼少を過ごした街でもあります。

堀江氏の事を調べていると出てきますが、『茶畑しかない田舎』です。
そう、八女といえば真の通が好む銘茶、八女茶が有名です。
生産量は静岡に叶うはずがありませんが国内随一の玉露産地と言われており、至高の茶葉しか育ちようがないという恵まれた場所で栽培されているブランドもあります。
それを知っているのかわざわざ海外から買い付けにくる人も居ます。(地元民しか知らないような所なのに・・・)
『茶畑しかない田舎』と言いましたが、ちょっと出れば商業施設やパチンコ屋程度はあります。

あ、市町村合併したので黒木瞳さんの生まれ育った街ということにもなりますね。
甥っ子とは同級生でした。

まぁ〜これがもう田舎も田舎、最高に田舎、いずれ滅ぶ事が確定しているくらい田舎です。

いや、そりゃあ文明はいずれ滅ぶんだろうけれども。
とにかくそういう地球規模な話ではなく、もっとシャローな話で、つまるところ金も出て行く、人も出て行くという地方じゃありふれた話です。

『なんでそんな所で一介の技術屋が開業したのか。馬鹿なのか。』という意見もあるかと思います。
いやはや全くその通りでございますね。
まぁ私には私なりに夢がありまして、『死ぬ一日前にでも良いからこのクソ田舎に情報系の大学を設立する』という無謀な挑戦をしたかったのです。
これは別に「私が作った」じゃなくても良いのです。
だれか他の人が実現してくれても全然良い。

とは言っても夢を成すのにも生活するのにもお金が要ります。
私の分野ではこんな大きい企業もほぼ無いような状況でビジネスチャンスを見出していくのは至難の業です。

そもそもITというのはそれ単体では本来の持ち味が生かせないのです。
何かに組み合わせる事こそITのあるべき姿。
もともと人の暮らしを豊かにするために進化してきたモノですからね。

もしかするとこれから農業とビジネスタッグを組むかもしれません。
今回はそんな時の為にも田舎に最も根付いているであろう農業について考察してみました。
私が居る八女でなくとも地方であれば共通してくる点が多いと思います。

ちなみに結構ガチで考察してるので、かなり長いです。
わかりやすさよりも深さや真理に近づく事を重視しています。
絵も図もありません。
活字中毒の人は楽しめるかもしれませんが、続きを読みたい方はお時間のある時にまたお越しください。

田舎暮らし02

少し根本的な事から考えてみる

古くから暮らしとは即ち『衣・食・住』であると言われてきました。

私の持論ですが先進国家の場合は、それらと対を成すものに『商・遊・学』という要素が存在していると思っています。
(たまたま同じ考えの人も居るかもしれないけど・・・)
本来は『衣・食・住』は『行う』だけでなく『確保する』も含むらしいのですが、これはちょっとこじつけっぽいから私は好きではありません。

『商・遊・学』とは字の通り、

  • 商い  生活に必要な通貨を集めること
  • 遊び  状況を享受し、やりたいことをやること
  • 学び  他の要素に活かすための知恵を取り込むこと

です。
現代社会において『衣・食・住』を支えるために必要なものであり、逆に『衣・食・住』もまた『商・遊・学』を支えるために必要なものです。
地方が田舎であり、ゆるやかに衰退していくしかないのは、『衣・食・住』に比べて『商・遊・学』のバランスが悪いからです。
これは量的なバランスだけでなく、やり方や置かれている状況などに起因する質的なバランスも含みます。

仕事がなければ人は減ります。
面白くなければ人は減ります。
学ぶ場がなければ人は減ります。

人が減れば税収も下がり、再分配も上手く回らず経済と活気の両側から衰退する。
当たり前の話ですね。

田舎暮らし01

農業とはどの要素に入るのか

あらゆるビジネスは『衣・食・住・商・遊・学』の中のどれかに関わりを持つ『商』です。

  • 衣に関するビジネス
  • 食に関するビジネス
  • 住に関するビジネス
  • 商に関するビジネス
  • 遊に関するビジネス
  • 学に関するビジネス

で、全てに目を光らせる事は不可能なので、今私が目をつけてるのが『商』と『学』。
ITというのは『商』や『遊』や『住』それから『学』との相性が良さげですね。

とりあえず相手を理解しないことにはビジネスのやりようがないので、
農業を相手にビジネスを展開するなら農業をどれかに含めないと話を整理できません。

農業は一体どれでしょうか?
食べ物作るから『食』でしょうか?
いやいや。
『食に関するビジネス』なので『農業』は『商』です。
かつて『士農工商』という身分制度があったのでごっちゃにされがちですが、農業は産業でありビジネスです。
その農業に関わってビジネスを行うのであれば『商に関するビジネス』を行う事になります。

ちなみにここで言う農業は自給自足を含みません。
それはただ『畑で食料を作っている』だけです。
農業とは『第三者に渡し、対価を得る』ところまで入れるべきでしょう。
だから物々交換は『対価が通貨ではない』というだけで農業です。
JA加入者ならJAが買い取ってくれますが、それも『第三者に渡し、対価を得る』という行為です。

農業とは切っても切れないJA

農業が身近にある土地では『JAは農業ヤ○ザだ』という言葉を耳にする機会があります。
よく上がる例が、『無人販売等で野菜を売ると怒られる』という話です。
『そんな事を続けるならJAへの加入は続けないでくれ』といったニュアンスの事を言われると。

つまり彼らとしては、『JA以外で野菜や果物を売らせてくれない』のがまるでシノギを手放そうとしない『ヤ○ザ』のように見えるらしいのです。

う〜ん、私はこの考え方は真っ向から否定させていただきます。
JAには買い取った作物やその加工物の品質を管理するための仕組みがあります。

ちょっとスイカ食べたくなってきたのでスイカを例にします。
仮にJAを介さないでスイカを売ったとしましょう。
もし、そのスイカを買った人が食中毒を起こしたらどうしますか?
個人で責任が取れるのでしょうか?
責任が取れたとしても今後同じように商売できる状況ではなくなるのではないでしょうか?
そもそも作った人のせいじゃなかったとしても、どのような品質管理をやっているのか説明して信用を得られるのでしょうか?

で、そんな問題を起こしたのがJA加入者でしたというオチだったら?

そりゃJA側も『そんな危なっかしい人に加入されていると困る』と言いたくもなるでしょう。
他の加入農家も被害を受ける可能性があります。
むしろ彼らの姿勢はそういったリスクから農家を守ろうとしているんじゃあないでしょうか。

若いのに『JAは農業ヤ○ザだ』と言っている人は多分勘違いしていますね。
これ元々は30数年前だか40数年前だかの話で、共済の加入者を集めるために結構無茶な勧誘していた時代があった時の事です。
この時に現役だった世代が抱いた印象を口伝する内に今の若い世代に誤って刷り込まれていったんじゃないでしょうか。
だから何十年もやってきたベテランの農家たちが言ってる意味合いと、今の若手が言ってる意味合いは違います。

  • 何十年もやってきたベテランの農家の言ってる意味合い→確かにそういう時代があった地方もある
  • 若手が言ってる意味合い→ただの思い込みor知ったかぶり

だってそうでしょう。
別に抜けようとしてる人を無理矢理引き止めているわけではないのですから。
JA以外で売りたいならJAへの加入をやめて、自分の責任の範囲で好きに売ればいいんです。
リスクは当然あるでしょう。
けれどもリスクを取るも取らないも、コントロールして最小限に留めるのも、『農業』が『商』である限り『判断し続けていくこと』から逃げてはいけないのです。

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農業がかかえる問題

じゃあJAに問題はないのでしょうか?
いえ、全く無いと言うことはないです。

彼らはできるだけ高い価格で作物を取引するために動かねばなりません。
JA未加入者は自身が、です。

そもそも、農作物の価格というのは安すぎるんです。
安ければ消費者は喜ぶでしょう。
けれどもそれはおかしい。
それは『喜ぶ顔が見たい』という『遊』じゃないでしょうか。
これは蔑んでいるのではありません。
私の『大学を設立する』という無謀な挑戦も『遊』です。

日本じゃ当たり前のようですが、これだけ品質も高くて美味しいのに今みたいな値段のままで良いのでしょうか。
実際この品質を保つために農家の方々は相当な苦労を払っています。
倍の価格で取引されれば需要は減ります。
が、必要な仕事量も1/2になる事実を忘れてはいけません。
『商』であるならば、ここをいい塩梅にしていく事を忘れてはダメなはずです。

『そうは言っても高いと誰も買ってくれないよ!』

そうです。
『安いこと』それ単体が問題ではないのです。
何故高いと買ってくれないのでしょう。
それは『同じモノや似たモノを安く売る競合他社(者)』が多いからですよね。

気候的な問題であったり、土壌の問題であったりで何でも作れるわけではありませんから、農作物の種類には限りが出てきます。
それをみんな同じような販路で取引しているわけです。
だから電化製品なんか目じゃないくらいメチャクチャ競合しまくってます。

この『競合』こそが注目すべき問題です。

競合という問題を無くすには

完全に0にするのはほぼ不可能でしょう。
『鬼と化して殲滅』できればそれは手っ取り早いですけど、そんなことはできません。
であれば取れる手段は以下の3つじゃないでしょうか。

  1. 競合より優れたモノを作る
  2. 誰も手がつけたことがないモノを見つける
  3. 販路を変える

いずれも楽な道ではありません。
1は最も苦労する道な気がしますが、なぜか人気があります。
並大抵の努力ではこれでは対抗不可能ですが、もし実現すればしばらくの間は幸せかもしれません。
けど、いずれは必ず別の人に追い抜かれます。

2もかなり難しいですが夢がありますね。
自分で交配を重ねて、自然には存在しなかった全く新しい作物を作れたとしたら、大変なことになるかもしれません。
人間を襲うような漫画みたいな植物が生まれないことを願います。

私は3こそがJAやJA未加入者が辿るべき道かなと思います。
JAに加入を続ける農家はこれの為にJAのケツを叩きまくるべきです。
そして、ITが活躍するのもそこかなと思います。
最近流行りのIoTを駆使し、負担を下げるというITの関わり方もあるかもしれませんね。
が、それはちょっと農家の現実を知らなさすぎる。
単純に負担が減れば、生産量が増えれば、勝手に儲かるというモノではないのです。
楽になっても、儲からなければもう一つの問題である後継者問題は解決しません。
儲かり出すっぽいからチャンスを逃さぬよう負担を減らして大量生産できるようにしておく、という考えであれば恐らくそれは正解です。

農業を『抜群に儲かる事業』へと進めていく事こそが地方における様々な課題をいくつも同時に解決するための手段なのです。
ビジネスとはソリューションですから、それに関わる者もまた相手が抱える問題を認識しておくことが必要です。
(認識した所で解決してあげられるかはまた別の問題ですが)

抜群に儲かる事業にした判例はあるのか

判例があれば少なくとも『不可能ではない』という事が証明できるでしょう。
もちろん並大抵の努力ではなかったはずですが、『抜群に儲かる事業』にしちゃった人がいます。
岐阜県中津川市に本拠地を置く、サラダコスモの社長 中田智洋氏です。
『もやし』作ってます。
あの数十円で売ってる『もやし』です。

以前カンブリア宮殿にも出演されていました。

長くなるので詳細は以下からどうぞ。
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/20140508.html

彼はこれからの農業は『カッコイイ』ものへとなるべきだと言っています。
後継者問題に着眼しての事でしょうね。

『抜群に儲かる事業』にするための鍵『販路』

2つ前の項目で『販路を変える』という事に触れました。
いきなり答え出してしまいますけど、ぶっちゃけもう海外しかないでしょう。
『地産地消』じゃダメだ。

JAは海外での販路を大量に確保すべきです。
しかも今すぐ迅速に。
畜産の方は去年動き出したみたいですが、農作物で派手に動いているという話は聞いたことがありません。

『迅速に』というのはもう舞台が整いつつあるからです。
いや、正直もう遅いくらいなので、焦って行動に移すべきです。
まぁ察しの良い人ならわかりますね。
『TPP』と『円安』です。

『TPP』は農家を苦しめると言われていますが、これは言葉が足りていない。
正確には『相手国の農家を苦しめる』です。
だって相手にとっても状況は同じなんですから。

日本は狭いですから、諸外国の輸出高に叶わないという方もいらっしゃいます。
けど輸出高の問題でしょうか?
狭い→人口が少ない→必要な儲けが諸外国より少ない
という事にならないでしょうか。
それに全体的な輸出高にこだわるべきは国そのものであって、一農家には関係のない話でしょう。
生産量で勝たないと潰されるという突拍子もない考えが蔓延してますが、農家にとっては市場が広がると考えた方が良いのではないでしょうか。

ちょっと言葉は悪くなりますが、初手は日本の農作物で相手国の農作物を蹂躙しましょう。
日本の美味い野菜に慣れた皆さんが海外の野菜を食べようと思うでしょうか?
まぁ安いのがイイって人もいるでしょうけど私は思いませんね。
食べるモノは美味いモノが良いに決まってる。
逆に日本の野菜が海外で売れないとでも思いますか?
海外の作物で美味いモノ、あります。
たしかにあります。
けどそれはそもそも日本において生産に適さないような作物ばかりではないでしょうか。

値段が高くなって売れないという心配もあるでしょう。
『円安』の効果が必要になってくるのはここです。
円安であれば、相手国の通貨ベースではそこまで価格差が出てきません。
もし日本のスーパーで見かける品質で海外のスーパーに並ばせる事ができるなら、もう勝算しかないでしょう。
だから移送中に品質を落とさない方法にもビジネスチャンスが生まれます。

『移送中に品質を落とさない方法』が確立されたタイミングでは(日本の技術なら可能でしょう)、今度はもっと誰にでも参加しやすいビジネスチャンスが生まれます。
『ネットで販売する』というごくありふれた手法でも、勝算が出てくるのです。
ここでもITが活躍する場はあるでしょう。
そしてJA加入していない農家もこのタイミングが動きやすいと思います。
相手国の言語で作る必要はありますが、そんなの人力翻訳サービスでどうにかなりそうです。

初手はわかったところで、じゃあ次の手はどうするか。
次の手というのは『円安』が『円高』に転じた時ですね。
正直なところ初手で派手に海外の農作物を駆逐しておけば、例え『円高』でも売れ続けるんじゃないかと楽観視しています。
むしろブランド色を強く打ち出し、高級食材として取り扱われる事を目指しても良いかと。

『安い方がいい』と言う人であっても『安いものが欲しい』とは思っていないですよね。
『高いものが欲しいけど安い方が自分にも買えるからいい』ですよね。
買える人は高いものが欲しいからブランドを買います。
この層の刺激の仕方はもうお腹いっぱいな程ありふれています。
本屋でもネットでも、もしかすると図書館でさえあるかもしれません。

他にも初手で儲けた金で円高になった後に海外の土地を買い、そこで日本の技術で栽培した作物を作るという手法も考えられます。

このように初手を決めれば『抜群に儲かる』スパイラルが形成されます。
だからJA、もしくは非組合員農家の『海外販路拡充』がその鍵だと言えるのです。

また海外へ日本の野菜が飛び出せば、今まで日本の野菜を知らなかった層が刺激されます。
『どうやったらそんなに美味く作れるのか』と。
ここにも需要が出てきそうです。
技術の輸出ですね。
まぁこれは後々自分で自分を苦しめることになりかねないので私はやって欲しくはないですけど。

これらは無理矢理ポジティブに考えたわけではありません。
私自身は非常にネガティブな人間ですからそういう考え方は苦手です。
それでもポジティブな結論が出てしまいました。

希望しかないように思えますが・・・

話はそう単純じゃなく、『別に今のままで良い』とかいう阿呆が必ず出てきます。
地方だと余計にです。
こういった『人間』こそがこのシナリオの最大の敵です。
このような人たちに権力を与えてはいけません。

今のままじゃダメだっつってんだろ!コイツめ!

まとめ

私の目には農家の大半は『多く作ること』『良いものを作ること』ばかりに目を向けがちなように見えます。
もちろんこの2つは大前提として大事なのですが、成功してる農家はこれに付け加えて『販路』とか『マーケティング』の重要性も理解していますよね。
しかも何故か大したリスクも犯さずトントン話を進めているような所が多いです。
『食』は三大欲求にも数えられるので『IT』ではあり得ない独特のやりやすさがあるのかもしれません。

他の記事見たらわかる通り、私は専業農家ではないです。
昔は兼業農家でしたが。
それでもここまで考えを広げることができ、結構真理に近づけた気がします。

『農業』が立派な『商』である限り、それを忘れたり、考えるのをやめてはいけないのではないかと私は思います。

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